発行日 2013年5月1日
Published Date 2013/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2013255238
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症例は65歳女性で、近医で胆管嚢胞腺腫と診断され、嚢胞天蓋切除、遺残嚢胞壁焼灼術を施行された。術後5ヵ月目に焼灼壁内部に増大傾向を示す多房性嚢胞を認め、当院紹介となった。腹部造影CTで門脈臍部近傍から右Glisson鞘に接する多房性嚢胞性病変を認め、焼灼嚢胞壁からの胆管嚢胞腺腫再発と診断し肝左葉切除術を施行したが、右Glissonに接していた右葉側の嚢胞壁は切除しなかった。病理組織学的所見では結節部分に乳頭大の増殖、一部核の異型や腫大を認め、間質は卵巣様間質を伴っており、免疫組織学的検査でエストロゲン受容体、プロゲステロン受容体とも陽性であった。経過観察していたところ、初回手術から15ヵ月後に肝門部に嚢胞構造の出現を再度認め増大傾向であったため、3回目の手術を施行し残肝断端近傍のGlisson鞘に接する遺残嚢胞壁を完全切除した。嚢胞内腔は1層の上皮で覆われ、明らかな核異型や卵巣様間質は認めなかった。3回目の手術後20ヵ月経過し再発所見はない。
©Nankodo Co., Ltd., 2013