発行日 2012年10月1日
Published Date 2012/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2012371425
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2006年4月~2011年4月に、術中腸管気腫性嚢胞症(PCI)と診断された5例(男性1例、女性4例、85~91歳、平均87.4歳)を対象に、症例の臨床諸因子(主訴、腹膜刺激症状の有無、腹腔内遊離ガスの有無、術前診断、手術適応、術式、転帰)について検討した。患者は全て85歳以上と高齢で、認知症を有し、日常生活動作(ADL)が低かった。主訴は嘔吐3例、腹痛・意識障害各1例であった。2例で腹膜刺激症状がみられたが、3例ではみられなかった。全例で腹腔内遊離ガスを認め、うち2例では門脈ガス血症が認められた。術前診断では全例が消化管穿孔と診断され、緊急手術が施行された。そのうち2例は門脈ガス血症を認め腸管壊死が疑われた。また、直近の3例は術前に肺野条件での腸管気腫診断を施行しており、術前鑑別診断としてPCIも挙げられていた。1例では気腫部分の小腸部分切除が施行されたが、他の4例については腸瘻造設、試験開腹術のみで腸管切除は施行しなかった。1例のみ術後二次性血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)発症のため死亡したが、他の4例は経過良好で退院した。
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