発行日 2015年1月1日
Published Date 2015/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015149840
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
83歳男。交通外傷による両側硬膜下水腫・くも膜下出血・左頭頂葉脳挫傷のため当院入院中で、経鼻胃管による経管栄養が行われていた。発熱の精査目的で施行されたCTで門脈ガスを指摘され、当科紹介となった。腹部単純CTでは肝右葉前区・外側区の門脈内および非静脈内にガスを認め、また胃管の先端が穹隆部に位置し近傍壁に壁内ガスを認めた。上部消化管内視鏡では穹隆部大彎に胃管の先端があり、周囲に広範なびらんを認めた。以上より、胃管の機械的刺激による胃びらんに伴う胃気腫が原因となった門脈ガス血症と診断し、胃管を抜去して保存的治療を行った。また、CT所見で肺炎を疑う所見を認めたため、発熱の原因と考え抗菌薬投与を開始した。治療開始翌日には胃の壁内ガス、門脈ガスは消失し、その後は経鼻胃管挿入の際には、透視下に先端を前庭部または十二指腸水平脚に誘導し、壁への先あたりがないことを確認して留置することとした。6ヵ月後に胃瘻造設の同意が得られたため造設を行い経腸栄養を継続し、18ヵ月後に肺炎で死亡するまで再発は認めなかった。
©Nankodo Co., Ltd., 2015