発行日 2012年10月1日
Published Date 2012/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2012371426
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症例は73歳男性で、全身倦怠感を主訴とし、45歳時に胃潰瘍で幽門側胃切除術を受け60歳から虚血性心疾患で経過観察中であった。入院10ヵ月前、スクリーニング時検査で血清カルシウム、副甲状腺ホルモン高値が認められたが無症状で経過観察された。著明な食欲低下、体重減少を認め、血清カルシウム、intact-PTH増悪と頸部エコーで甲状腺左葉の背側に径1cmの腫瘤が認められた。るい痩を認め、左前頸部に硬い腫瘤を触知したが両側頸部リンパ節は触知しなかった。高カルシウム・低リン血症を認め、intact-PTHは160pg/mlと高値だが、副甲状腺ホルモン関連タンパク質は正常であった。腎機能障害、貧血がみられ、頸部超音波では甲状腺左葉背側で甲状腺内に入る10.6×9.7×10.9mmの類円形で低~等エコーの混在した腫瘤が認められた。ドプラエコーは内部血流の存在を示し、頸部MRIで甲状腺左葉後方にT1強調画像で低信号、T2強調画像で中央部がやや高信号の類円形腫瘤が認められた。周囲組織へ浸潤はなくリンパ節腫大もなかった。99mTc-MIBIシンチグラムの早期相、後期相共に腫瘍部位に一致し異常集積像が認められた。左下副甲状腺腺腫による原発性副甲状腺機能亢進症と診断し、頸部小切開単腺切除した。術中迅速病理診断で副甲状腺癌を疑い追加切除、リンパ節郭清した。再発徴候もなく経過良好であったが外傷性クモ膜下出血で他病死した。
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