発行日 2012年3月1日
Published Date 2012/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2012187913
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63歳男。持続する発熱、腹痛を主訴とした。入院時所見、血液検査、腹部X線・CT各所見より、後腹膜膿瘍と診断し開腹下でのドレナージ術を行った。上行結腸間膜根付近に径約5cmの腫瘤を認め、中心部を切開したところ黄白色で悪臭がある膿汁を排液した。術後、絶食と抗生物質投与を行い炎症反応は改善した。腹腔内のドレーンは術後6日目に抜去し、膿瘍内のドレーンは27日目に抜去した。膿瘍の培養の結果、Escherichia coli、Streptococcus属、Bacteroides fragilisを検出した。術後29日目、上部消化管内視鏡検査にて十二指腸下行脚後壁に襞の集中を伴う不整形の潰瘍性病変を認めた。この潰瘍性病変と胃潰瘍瘢痕の生検病理所見および臨床経過より十二指腸潰瘍と診断した。術前に確定診断ができなかったが、十二指腸下行脚後壁の潰瘍が後腹膜に穿孔したと考えられた。
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