発行日 2005年6月1日
Published Date 2005/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2006003421
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61歳女.子宮頸癌に対し子宮全摘と術後放射線照射,また直腸膀胱瘻に対し両側尿管皮膚瘻造設術およびS状結腸人工肛門造設術の既往歴があった.肛門より血性分泌物の排泄を認め,直腸癌の診断のもと骨盤内臓全摘術を施行した.組織学的には膀胱浸潤はなく,mucinous adenocarcinoma,組織学的病期stage IIであった.術後6日目にドレーンを抜去し,その後感染徴候はなく,術後31日目に退院した.しかし退院後11日目から発熱と左臀部痛が出現,右臀部痛も加わり,退院20日後に再入院となった.骨盤部CTにて仙骨前から両側臀部にのびる膿瘍を認め,局所麻酔下に左臀部を切開したところ多量の膿汁が排出された.膿瘍腔造影像上,膿瘍腔は臀部から骨盤腔にのびていた.そこにドレーンを留置し,膿からはBacteroides fragilisが同定された.抗菌薬投与と洗浄で軽快し,44日目にドレーンを抜去,51日目に退院した.その後膿瘍の再燃はあったが,現在まで癌再発はみられない
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