発行日 2012年2月1日
Published Date 2012/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2012159386
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62歳女。胸のつかえ感を主訴に受診、上部消化管内視鏡検査で食道胃接合部の憩室を指摘された。経過観察としていたが、約4年後に吐気、胸やけが出現した。上部消化管内視鏡検査では、食道胃接合部直上に憩室を認め、上部消化管造影で食道胃接合部直上の腹部食道前壁に憩室を確認し、造影CTでも噴門直上、腹部食道前壁に筋層を欠く憩室を認めたが、合併する腫瘍などは確認されなかった。以上より、腹部食道憩室と診断し、腹腔鏡下切除術を施行した。術中食道胃接合部前壁に漿膜面に突出した腫瘍性病変を認めた。病理所見では憩室壁は筋層を欠き、食道粘膜上皮部の上皮化に軽度のリンパ球浸潤を認め、憩室内に食道胃接合部が見られ、胃粘膜下に腫瘍を認めた。免疫組織学的に一部細胞にc-kit陽性を認め、GISTと診断された。α平滑筋アクチン、デスミンは陽性、CD34とS-100は陰性で、Ki-67陽性率は1~2%と軽度で、GISTリスク分類では低リスク群と判断した。
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