発行日 2011年5月1日
Published Date 2011/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2011257498
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93歳男。下痢、下腹部皮下気腫を主訴とした。92歳時から水疱性類天疱瘡に対し、プレドニゾロン(PSL)10mgを連日内服していた。腹部CTで小腸壁、後腹膜の気腫変化と腹腔内遊離ガスを認めた。さらに、下腹部から会陰部にかけて皮下気腫を認めた。消化管造影X線で、腸管壁気腫性に伴う内腔の不整な狭小化を認めたが通過は良好で、明らかな造影剤の腸管外漏出は認めなかった。以上より気腹症と皮下気腫を伴った腸管嚢胞状気腫症(PCI)と診断し、絶食下での輸液、抗生物投与、リザーバーマスクを用いた高濃度酸素投与による保存的治療を開始した。翌朝のCTでは造影剤は全て結腸・直腸に達しており、腸管外漏出は認めなかった。PIC発症の成因と考えられたPSLは減量して再開した。第7病日に発熱が出現し、CTで両側水腎症を伴う緊満膀胱を認めた。気腫性変化や腹腔内遊離ガスは消失していた。脳梗塞後遺症のため誤嚥の危険が高く、胃瘻を増設した。約10ヵ月が経過した現在、PSL 5mg内服で経過観察されている。
©Nankodo Co., Ltd., 2011