発行日 2011年3月1日
Published Date 2011/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2011177989
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右肝動脈(RHA)の異常走行を有する膵頭部領域癌に対して膵頭十二指腸切除(PD)を施行し、術中所見でRHA再建が必要と判断した3症例(67歳、71歳、66歳、全例男性)を経験した。全例、走行異常のRHAを切除し、端々吻合が不能であったため、それぞれ手術所見によって最適と考えられる近傍の動脈と吻合した。症例1ではRHA断端を胃十二指腸動脈(GDA)断端と端々吻合したが、症例2ではRHA断端とGDA断端を吻合するために必要な距離が得られなかったので、RHA近傍にあり十分な口径を有していた中肝動脈とRHAを端々吻合した。一方、症例3では手術の初期段階で左肝動脈が小網付着部まで切除されており、その後、更にRHAが門脈の前面で腫瘍浸潤を受け、温存不可能であることが判明し、また左胃動脈根部は切離前であったため左胃動脈を温存しながらリンパ節郭清を行い、長く残した左胃動脈断端をRHAと端々吻合した。尚、全例、合併症はなく、良好な経過をたどった。
©Nankodo Co., Ltd., 2011