手術症例報告
腸球菌の胆道感染を併発した特発性総胆管穿孔の1例
奥村 全史
1
,
石川 真
1白根徳洲会病院 消化器科
キーワード:
壊死
,
開腹術
,
急性腹症
,
総胆管疾患
,
縫合法
,
免疫組織化学
,
Pazufloxacin
,
Enterococcus Infection
,
緊急手術
,
細菌培養
,
腹腔ドレナージ
Keyword:
Abdomen, Acute
,
Common Bile Duct Diseases
,
Immunohistochemistry
,
Laparotomy
,
Necrosis
,
Suture Techniques
,
Pazufloxacin
pp.821-825
発行日 2016年5月15日
Published Date 2016/5/15
DOI https://doi.org/10.18888/J00620.2016265614
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70代男。右上腹部痛、嘔吐、歩行困難を主訴とした。腹部所見、血液検査所見、CT検査所見より汎発性腹膜炎、とくに急性胆嚢炎や上部消化管穿孔を疑い緊急手術を行ったところ、腹腔内には大量の胆汁性腹水が貯留して中部胆管右側壁には8mm大の穿孔部があり、その周囲には壊死した胆管組織を認めた。胆道造影では、上部・下部胆管は拡張していたが、結石や胆泥は認めなかった。以上より、特発性総胆管穿孔と診断して総胆管の結紮縫合とT-tubeドレナージ、パズフロキサシン(PZFX)投与を行ったところ、術後は順調に経過した。病理組織所見では胆管壁は菲薄化して全層性に壊死に陥っており、腹水培養や穿孔部のGram染色、免疫染色にてPZFX感受性腸球菌が同定された。本症例は腸球菌の胆道感染を併発した特発性総胆管穿孔であり、Oddi括約筋の痙縮によって胆道内圧が上昇し、感染によって脆弱化した胆管壁が穿孔したと推察された。
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