発行日 2010年11月1日
Published Date 2010/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2011034207
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著者らは2001年1月~2009年9月に腹腔鏡下胆嚢摘出術(LC)を施行した1616例中、術前非疑診胆嚢癌症例7例を対象に手術適応となった対象疾患の特徴や胆嚢癌形態について検討した。その結果、術前診断は胆嚢結石に伴う急性胆嚢炎4例、胆嚢腺筋腫症・胆嚢結石各1例であり、病理組織学的所見は多くがwell differentiated adenocarcinomaで、7例中5例に認められた。深達度は粘膜癌2例、漿膜下層以上の浸潤5例で、術中の胆汁漏出を認めたのは1例のみであった。全例で胆嚢摘出時は回収バッグが使用され、漿膜下層以上の浸潤がみられた5例中3例に追加切除が行われた。手術は3例とも肝S4aとS5の肝切除と2群リンパ節郭清が施行され、3例中1例が24ヵ月後に肝転移・リンパ節転移再発が生じた。一方、追加切除をしなかった2例中1例では局所再発がみられ、13ヵ月後に死亡となった。尚、LC全例の平均年齢は58歳であったが、術前非疑診胆嚢癌症例は69歳と高齢で、胆石や胆嚢炎による胆嚢壁評価困難例と腺筋腫症に関連した胆嚢癌であった。
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