発行日 2015年10月1日
Published Date 2015/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2016019438
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80歳女。主訴は右側腹部痛であった。2週間前に腹部超音波検査で胆嚢底部に充満する腫瘤影を認め、胆嚢癌の疑いで精査予定であったが、前日から右側腹部痛が改善せず、嘔吐も出現したため救急外来を受診した。腹部CTで胆嚢は著明に腫大し、胆嚢壁は浮腫状に肥厚していたが、造影効果を認めず、肝床より離れた胆嚢底部内腔に隆起性病変を認めた。胆嚢癌に伴う急性胆嚢炎の診断で、内視鏡的逆行性胆道造影を行い経胆管的にドレナージを試みたが、胆嚢管へのカニュレーションが不能であったため鏡視下に緊急手術を行った。術中、Gross I型の遊走胆嚢が胆嚢管を軸に時計方向に360°以上捻転していたため、捻転を解除し、胆嚢摘出のみを行った。摘出標本は、胆嚢がうっ血し、底部に充満する隆起性病変では腫瘍細胞が乳頭状・腺管状に増殖し、深達度漿膜下の腺癌と診断した。術後経過良好で29日目に退院し、1年6ヵ月経過現在、再発所見は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2015