発行日 2010年7月1日
Published Date 2010/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2010284106
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63歳男性。患者は左腎細胞癌に対する左腎摘出術後16年目に上腹部痛が出現し、腹部CTにて膵鉤部の腫瘍を指摘され、精査入院となった。所見では腹部CTで膵鉤部の動脈相にて辺縁部が強く濃染される3.3cm大の腫瘍が認められたが、中心部は不染帯となっていた。また、腫瘍周囲にはリンパ節腫大がみられたが、肝転移は確認されなかった。一方、腹部MRIで腫瘍はT1にて高信号、T2にて中心部が高信号、辺縁が低信号を呈していた。以上より、本症例は膵非内分泌性腫瘍が疑われ、開腹手術を施行、手術所見では膵鉤部に腫瘤が認められたが、術中迅速病理で転移は認めず、膵頭十二指腸切除術が施行された。その結果、病理組織学的に腎細胞癌の膵転移と診断され、術後の経過良好で、患者は手術から42日目に退院となった。尚、目下、再発および転移は認められていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2010