発行日 2004年10月1日
Published Date 2004/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2005007514
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64歳男.腹痛と食欲不振を主訴とした.7年前に腎癌の膵多発転移で膵全摘術の既往があった.腹部X線で小腸にガス像を,大腸に多量の便を認め,CTで小腸および大腸が拡張気味でイレウスの所見を認めた.再発を思わす腫瘍像は認めなかった.胃チューブを挿入すると,大量に便汁様排液が認められた.翌日,イレウス管に入れかえたが,小腸内に留置したチューブはすぐ胃内へ戻され,粘稠な便汁が流出した.膵全摘後のため,消化不良による食餌性イレウスが考えられ,イレウスチューブより徹底的に洗浄を施行したところ,粘稠な便汁が次第に薄くなり,洗浄処置2日後,大量の便の排出を認め,腸閉塞は解除した.以上より膵全摘後の消化液産出不良のうえ,玄米やアーモンドなどの消化不良の食物摂取,糞便貯留による腸閉塞と診断した.大量排便後は順調に回復し,順次,食事摂取して,入院後3週間で軽快退院した
©Nankodo Co., Ltd., 2004