発行日 2010年6月1日
Published Date 2010/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2010242791
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69歳男。患者は便秘および嘔吐を主訴とした。X線では拡張した小腸ガスと鏡面像がみられ、CTではヘルニア門から陥入した小腸像が膀胱壁を左前方から内方に圧排していた。イレウスと診断され、イレウスチューブを挿入して腸管の減圧が5日間行われたが腸閉塞は改善しなかった。そこで、開腹手術に移行した結果、膀胱上窩の漿膜に2cm大の欠損部があり、膀胱を前方から圧排するように小腸が約5cm陥入していた。以上、このことから本症例は前方陥入型内膀胱上窩ヘルニアと診断され、用手的にイレウスを解除、膀胱壁の損傷がないことを確認後、ヘルニア門を縫合閉鎖した。尚、術後は経過良好で、ヘルニア嚢は認められず、陥入した小腸の壊死性変化もなく、患者は術後16日目に退院となった。
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