発行日 2010年6月1日
Published Date 2010/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2010242790
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53歳男。患者は2003年初めから心窩部痛、2004年から背部痛が出現し、体重減少と軽度労作時息切れを伴っていた。今回、近医で多量の左胸水を指摘され、著者らの施設へ紹介となり、縦隔内膵仮性嚢胞と膵性胸水を伴うアルコール性慢性膵炎の増悪の診断で保存的に加療され、軽快退院なった。しかし、外来経過観察中、嚢胞が再度増大し、胸水も増量した。MR胆管膵管撮影で膵縦隔瘻孔を確認後、一期的な内瘻術は縦隔内膵嚢胞自体が膵液の流入経路となる危険性があると考え、外瘻術としてエコーガイドによる経皮経肝的嚢胞ドレナージを先行させたものの、1ヵ月後、主膵管拡張型の慢性膵炎像がみられた。膵頭部病変が軽度であったことから内瘻術としてPartington手術を施行した結果、膵機能は十分に温存され、術後は良好な経過が得られた。
©Nankodo Co., Ltd., 2010