発行日 2013年3月1日
Published Date 2013/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2013191405
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54歳男。13年前に左鼠径の、4年前に右鼠径ヘルニアの手術既往があった。今回、右鼠径部手術創瘢痕のやや内側尾側の恥骨上に、圧痛を伴う鶏卵大の固い膨隆を認めた。腹部CTでは右鼠径部に腹腔内と連続した膨隆があり、ヘルニアであることが確認された。膨隆は膀胱壁と連続していることから、膀胱ヘルニアと診断した。右再発鼠径ヘルニア嵌頓としての膀胱ヘルニアと診断し、緊急手術を行った。前回の手術創瘢痕を利用して皮膚を切開し、嵌頓したヘルニア内容物を創外に誘導した。外腹斜筋腱膜を切開後、精巣動静脈・精管を剥離し、Nelatonを通して確保した。横筋筋膜を切開して確認すると、恥骨上再発であった。術前にヘルニア内容が膀胱であると診断しており、また膀胱の血流障害もないと判断し、ヘルニア嚢は開放せずに腹腔内に膀胱を還納した。その後、Mesh plug法で修復した。術後約1週間は肉眼的血尿や微熱があったものの自然軽快し、術後10ヵ月の現在、ヘルニアの再発は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2013