発行日 2010年4月1日
Published Date 2010/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2010160810
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79歳女。洗腸を契機に腹痛、嘔吐、意識障害が出現した。62歳時の肛門癌に対する腹会陰式直腸切断術後、数日おきに微温湯1リットルで洗腸を開始していた。血液生化学検査にて白血球数減少を認め、腹部造影CT、注腸造影各所見より虚血性腸炎による急性汎発性腹膜炎、敗血症と診断した。緊急開腹手術を行ったところ、下行結腸から横行結腸にかかる虚血性変化を認めたため人工肛門を含めて虚血結腸を切除し、人工肛門は再造設を行った。切除標本は全層性に腸管壁が壊死しており、病理組織所見より壊死型虚血性腸炎の診断を得られた。術後、MRSA肺炎による成人性呼吸窮迫症候群を合併したが改善し、第32病日に退院した。洗腸を行っているストーマ保有者は減少しているが、合併症発症の可能性があることを認識する必要がある。なお、洗腸を契機とした壊死型虚血性腸炎の報告はこれが初めてである。
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