発行日 2014年5月1日
Published Date 2014/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2014226267
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67歳女性。既往として子宮筋腫に対する子宮全摘術があった。今回、下血を主訴に前医を受診、上部・下部内視鏡検査では異常はみられず経過観察されていたが、下血を認めたため精査加療目的で著者らの施設へ紹介となった。入院時、血液検査では軽度貧血以外に異常所見はなかった。造影CT検査を試みるも造影剤アレルギーがあるため施行できず、上部・下部内視鏡検査で対応したが下血の原因となる器質的疾患は認められなかった。一方、腹部MRI所見ではT2強調像で回腸に低信号を呈する3cm大の腫瘍性病変がみられ、拡散強調像では同部位に拡散遅延領域が認められた。更にカプセル内視鏡所見では回腸に正常粘膜に覆われた約1/3周を占める腫瘍性病変を認められたが、その他の全消化管に出血の原因となる器質的疾患はみられなかった。以上より、小腸腫瘍の診断で手術を行なったところ、腹腔鏡下に小腸を検索するとTreitz靱帯から300cm肛門側の回腸に血管増生を伴う腸間膜側に壁外発育した約3cm大の腫瘍性病変がみられた。そして、同部位が出血源と判断して小開腹創から切除し再建した。その結果、切除標本の病理組織学的所見にて本症例は低悪性gastrointestinal stromal tumor(GIST)と診断、術後は合併症なく第14病日目に退院となった。目下、術後36ヵ月経過で無再発生存中である。
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