発行日 2003年8月1日
Published Date 2003/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2004013581
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80歳男.2000年2月検診で盲腸の虫垂開口部付近に粘膜下腫瘤様の低隆起性病変を認め,生検結果はGroup 3であった.同年9月前回の病変部位に山田II型の易出血性隆起性病変を認め,生検結果はGroup 5,adenocarcinomaであった.検査後,右下腹部から大腿部にかけて疼痛が次第に出現し,10月には39℃台の発熱を認めるようになった.腹部CT検査で後腹膜膿瘍が疑われ入院となった.腹部CTで回盲部から上行結腸の背側に,内部low densityなmass lessionを認め,一部は大腰筋内に広がっていた.造影CTではmass周囲に線状の陰影増強を認め,被包化された膿瘍の形成が疑われた.以上の所見より,後腹膜膿瘍を合併した原発性虫垂癌と診断し,10月18日手術を施行した.虫垂は途中で融解しており,断端は膿瘍に連続していた.炎症性変化のみで悪性所見は認められなかった.高齢であることを考慮し膿瘍腔は可及的に掻爬するにとどめ,D2リンパ節郭清を伴う回盲部切除術を施行した.術後麻痺性イレウスが認められたが軽快し,その後再発は認められない
©Nankodo Co., Ltd., 2003