発行日 2008年11月1日
Published Date 2008/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2009037044
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37歳男性。患者は階段の手摺に左鼠径部を打撲後、徐々に皮下血腫が出現し、受傷2日目に著者らの施設へ受診となった。所見ではエコーで左鼠径部の皮下に少量のfluid collectionが認められ、左足背動脈の拍動を触診したところ確認できず、足関節部上腕動脈圧比(ABPI)は0.6程度に低下していることが判明した。一方、CTアンギオグラフィでは左総腸骨動脈から大腿深動脈分岐部のすぐ中枢側まで途絶がみられた。以上より、本症例は鈍的外傷による左腸骨動脈閉塞と診断され、受傷6日目に待機的手術が行なわれた。術中所見では大腿深動脈分岐部より中枢側約3cmが全周性に坐滅していたためこの部位を切除し、Fogartyカテーテルにより腸骨動脈の血栓除去術を行ったところ、良好な拍動性血流が得られた。更に坐滅部位に人工血管による大腿動脈置換術が行なわれ、術後、ABPIは1.0に改善し、皮下血腫も徐々に消失した。
©Nankodo Co., Ltd., 2008