膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)の最新知見
IPMNに対する外科治療指針の今
木村 理
1
,
森谷 敏幸
,
渡邊 利広
,
神尾 幸則
,
平井 一郎
1山形大学 消化器・一般外科
キーワード:
医学用イラストレーション
,
膵切除
,
診療ガイドライン
,
膵管内乳頭腫瘍
Keyword:
Medical Illustration
,
Pancreatectomy
,
Practice Guidelines as Topic
pp.511-518
発行日 2008年5月1日
Published Date 2008/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2008184843
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膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)の病態についてはさまざまな未解決の問題点があるが、これはIPMN由来浸潤癌が通常型膵癌と比較してどの程度悪性か、という問題でもある。われわれの経験では、IPMN切除60例のうち14例がIPMN由来浸潤癌で、その5年生存率は約40%であった。IPMNが浸潤しはじめてからも臨床的にslow growingであることを示唆する所見であるが、IPMN非浸潤癌症例の5年生存率100%に比較すれば決して満足すべき数字ではない。したがって、IPMNはこれまで思われていたより悪性の疾患であることを考慮して治療にあたるべきである。さまざまな縮小手術が試みられているが、「縮小手術をしたことによって宿主(患者)を再発死させてはならない」という腫瘍外科手術の大前提を念頭におきながら、機能温存によっていかなる恩恵を受けたかを客観的に示していくことが重要である。適応は厳密にすべきである。
©Nankodo Co., Ltd., 2008