発行日 2002年4月1日
Published Date 2002/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2002252025
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83歳男.1998年7月頃より少量の下血を時々認めた.12月軽度の腹痛及び下痢を認め入院となった.単純X線検査で横行結腸ガス像を認めるも,拇指圧痕像は認めなかった.補液にて保存的に経過を観察した.第3病日に行った大腸内視鏡検査で,直腸RsからS状結腸にかけて白苔を伴った1/3周性の縦走潰瘍及び粘膜の浮腫を認め,更に口側に発赤を散在性に認めた.便培養検査で病原性大腸菌O6が検出されたが,症状が改善傾向のため抗生物質の投与は行わなかった.腹部CT検査では直腸壁の全周性肥厚を認めた.第14病日に施行した大腸内視鏡検査では潰瘍は瘢痕化しており,粘膜の発赤,浮腫も改善した.生検で粘膜の大半は炎症性肉芽組織となり高度の小円形細胞浸潤,充血,出血好中球の浸潤を認め陰窩膿瘍が形成されていた.第29病日の便培養検査でも再びO6が検出された.以上より虚血性大腸炎疑診例と診断した.経過は概ね良好で第51病日に退院した
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