発行日 2004年12月1日
Published Date 2004/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2005080088
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68歳男.便秘,腹部膨満感を主訴とした.血液検査でCRP軽度上昇と,上部消化管内視鏡検査で慢性胃炎を認める以外,異常はなかった.便潜血検査が陽性であったため,大腸内視鏡検査を施行した.横行結腸までは全く異常所見がなかったが,下行結腸に回腸の反転脱出像を認めた.腸重積の先進部には,潰瘍を伴う腫瘤性病変が認められた.内視鏡的に腸重積の修復はできず,緊急に回盲部切除術を施行した.回腸末端部分に限局した腫瘤は,病理組織検査でdiffuse large B cell lymphomaと診断され,深達度はsm相当であった.術後合併症もなく,全身検索で残存病変は発見されず,化学療法は施行しなかった.術後10ヵ月を経過したが,再発は認めていない.本邦で集積された小腸原発悪性リンパ腫の検討によれば,16%が腸重積を呈して発見されており,部位は回腸が73%を占めていた.しかし,大腸内視鏡検査で発見された悪性リンパ腫による腸重積例は,診断の契機としては極めて稀である
©Nankodo Co., Ltd., 2004