発行日 2008年2月1日
Published Date 2008/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008146451
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縦隔悪性リンパ腫16例(男性7例、女性9例、平均35.0歳)を対象として、その臨床像、診断方法、病理像、治療について検討した。腫瘍は12例で前縦隔に位置し、11例で有症状であり、咳、呼吸困難、胸痛、上大静脈症候群などが認められた。診断方法は開胸腫瘍摘出2例、開胸腫瘍生検1例、胸腔鏡下腫瘍生検3例、経皮的腫瘍生検5例、頸部リンパ節生検4例、骨髄穿刺1例であり、経皮的生検でも5例中4例(80%)で確定診断が得られた。確定診断が得られなかった1例は生検にてcytokeratinが陽性であったことから胸腺腫の診断で手術を施行したが、術後の病理診断にて悪性リンパ腫と診断された。病理像は非Hodgkin病12例、Hodgkin病2例、粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫2例で、非Hodgkin病ではB細胞型が6例、T細胞型もしくはnatural killer細胞型が6例であった。確定診断後、MALTリンパ腫2例で手術が、その他14例で化学療法が施行された。うちB細胞型2例、T細胞型1例、Hodgkin病1例では放射線治療が追加され、その後T細胞型1例ではサルベージ手術が施行された。診断方法としては、可能であれば侵襲の少ない経皮的針生検が最も望ましいが、種々の要因によっては不可能なこともあり、方法にとらわれずできる限り迅速に診断することに主眼を置くべきであると考えられた。
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