発行日 2007年8月1日
Published Date 2007/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2008003677
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71歳女。2年前より左乳房腫瘤を自覚するも放置し腫瘤増大と出血を認め受診となった。左乳房全体を占める腫瘍を認め、皮膚潰瘍を伴っており同部位よりの出血を認めた。胸筋固定を認めたが胸壁固定は認めず、腋窩リンパ節の腫大も認めなかった。胸部造影CTで左乳房全体を占める12.6×10.2×9.3cm大で分葉状構造を有した造影効果を伴う腫瘤を認めたが明らかな胸壁浸潤、リンパ節腫大は認めなかった。結核手術による左胸郭変形を認めたが、遠隔転移は認めなかった。血液学的所見ではHb 9.0g/dl貧血とCEA、CA15-3の上昇を認めた。以上の所見より、左局所進行乳癌(T4bNOMO、Stage IIIB)と診断し、術前化学療法としてCEF療法を施行して腫瘍マーカーの低下を認めた。外科療法として胸筋温存乳房切除術手術を選択し腫瘍浸潤部で大胸筋の一部を合併切除し肉眼的断端を確保し、広範な皮膚欠損は下腹部より採皮し全層植皮術を行った。組織学的所見より混合型粘液癌と診断した。核異型度はgrade 2で明らかな脈管侵襲、乳管内進展像は認めず、切除断端は陰性でリンパ節転移も認めなかった。術後合併症もなく退院した。
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