知っておくべき胆嚢癌の診療方針
外科治療 リンパ節郭清範囲のエビデンス 拡大郭清の意義はあるか
橋田 秀明
1
,
近藤 哲
,
平野 聡
,
田中 栄一
,
七戸 俊明
,
鈴木 温
,
佐川 憲明
,
鈴置 真人
,
市村 龍之助
,
野口 卓郎
1北海道大学 腫瘍外科
キーワード:
腫瘍進行度
,
リンパ行性転移
,
膵頭十二指腸切除
,
胆嚢腫瘍
,
リンパ節郭清
,
外科診断
,
治療成績
Keyword:
Diagnostic Techniques, Surgical
,
Gallbladder Neoplasms
,
Lymph Node Excision
,
Lymphatic Metastasis
,
Neoplasm Staging
,
Treatment Outcome
,
Pancreaticoduodenectomy
pp.1296-1300
発行日 2007年11月1日
Published Date 2007/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2007348333
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進行胆嚢癌の大動脈周囲リンパ節の転移頻度は20~40%、リンパ節転移陽性例においては実に30~50%に大動脈周囲リンパ節にも転移がある。遠隔転移を伴わない大動脈周囲リンパ節転移陽性例の生存率は肝転移や腹膜播種陽性例と同等で、大動脈周囲リンパ節転移陽性例に対する大動脈リンパ節郭清は予後の改善に寄与しない。このため、大動脈リンパ節郭清の意義は、根治手術症例の選別と正確な病期の決定にある。一方、進行胆嚢癌の根治手術において、膵頭後面リンパ節の予防的郭清を目的とした膵頭十二指腸切除(PD)施行の是非については議論のあるところである。胆嚢のリンパ流の主経路はNo.12b2,12p2,8pから直接No.16a2,b1にいたる経路であり、主経路を郭清でコントロールできない現状では、No.13a,14などの副経路を侵襲の大きいPDを併施してまで郭清する意義は小さい。以上のことからD2+No.16郭清が進行胆嚢癌の至適リンパ節郭清範囲と考えられる。
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