発行日 2007年4月1日
Published Date 2007/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2007206121
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40歳男。血便が出現し、大腸内視鏡で直腸Rsに隆起性病変を認め、生検の結果、直腸癌と診断され当院紹介となった。高位前方切除術を施行し、術中の超音波検査で肝S6に長径約1cmの肝転移を認め、肝後区域切除術を施行した。術後1日目に胃管を抜去したが、嘔気が出現したため再挿入となった。この時点で発熱を認め、体幹中心に発疹が出現し、水様性下痢も認めた。収縮期血圧91mmHgで、心エコーを施行した結果、血管内脱水の診断であったため補液を追加し経過観察した。術後4日目にはPLTが半減し、創からの膿性の滲出液が出現し、Toxic shock syndrome(TSS)の可能性を考えて、γグロブリンを投与した。その後、創全体にわたり壊死性筋膜炎のような膿性の変化が徐々に出現し、一部では全創が離開した。その後も微熱が続いたが、創の壊死した筋膜を可及的に切除した結果、術後13日目より平熱となった。創部の滲出液の培養からMRSAが検出され、術後21日目に全身麻酔下にデブリドマン及び創再縫合閉鎖術を行った。閉鎖術前後より四肢の皮膚に落屑が出現し、TSSと確定診断した。再縫合後、微熱、下痢、腹痛が再発するも創感染なく治癒し、術後36日目に抜糸した。
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