発行日 2006年4月1日
Published Date 2006/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2006157648
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36歳女.患者は右腋窩部に小指頭大の腫瘤を自覚し,次第に増大したため近医を受診,腫瘤摘出術を施行されが,原発巣は同定できなかったため,精査加療目的で著者らの施設へ紹介入院となった.胸部CTでは右腋窩部に造影効果を受ける腫瘤が認められ,体表超音波では腫瘤は低エコー腫瘤として描出された.PETを施行したが明らかな異常は認めず,右乳腺潜在癌の右腋窩リンパ節転移と考えられた.治療として,右腋窩リンパ節郭清,右乳腺腋窩尾の一部を合併切除したところ,術後の病理診断では,腫瘍は真皮深層から皮下組織に及ぶ充実腺管癌であり,ホルモンレセプターは陰性であった.また,腫瘍に接してエストロゲンレセプター陽性の正常乳腺と思われる組織が認められた.以上より,右腋窩部副乳癌と診断,摘出した腋窩尾の乳腺内に腫瘍は認めず,リンパ節転移も認めなかった.前医で摘出した腫瘤も再検討の結果,副乳癌の一部と考えられた.術後経過は良好で,再発の徴候は認められていない
©Nankodo Co., Ltd., 2006