発行日 2006年2月1日
Published Date 2006/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2006151905
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1980~2004年に手術を施行した乳癌のうち,腋窩リンパ節郭清を行った703例を対象とし,腋窩リンパ節転移の予測因子を検討した.腋窩リンパ節転移は37.6%に認め,年齢は55.6±12.2歳であった.腫瘍占拠部位別の転移率は中央62.6%,外側37.3%,内側26.7%であった.術前腫瘍径による転移率は0~1cmが13.6%,1.1~2cmが23.3%,2.1~5cmが48.3%,5.1cm以上が75.9%であった.組織型による転移率は非浸潤性乳管癌0%,粘液癌9.1%,その他の特殊型25%,乳頭腺管癌29.5%,充実腺管癌31.8%,硬癌52.3%であった.術後のリンパ管侵襲因子(ly因子)による転移率はly0,1,2,3は各々0.9%,17.9%,50%,85.7%,静脈侵襲因子(v因子)による転移率は陰性16.9%,陽性65.1%であった.病理学的浸潤径は0~1cm,1.1~2cm,2.1~5cm,5.1cm以上で各々12%,21.4%,48.6%,81%であった.多変量重回帰分析の結果,術前では術前腫瘍径,腫瘍占拠部位,組織型が,腫瘤摘出後ではly因子,v因子,腫瘍占拠部位,病理学的浸潤径,組織型が腋窩リンパ節転移の有意な危険因子であった.術前術後に腋窩リンパ節転移の予測因子を把握し,治療方針やフォローアップに注意することが必要であると考えられた
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