発行日 2005年12月1日
Published Date 2005/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2006078616
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術前診断が困難であった,腸間膜側発生の腹膜炎を合併した虫垂憩室2例(症例1:61歳男,症例2:69歳男)を報告した.症例1は下腹部痛を主訴とし,X線像,CTによりイレウスと診断し開腹したところ,膿性腹水が認められ,虫垂を中心に膿苔が広がっており,虫垂切除を行った.摘出した虫垂の根部には5個の粘膜陥凹部が認められ,更に体部および先端部には4個の粘膜陥凹部が認められた.根部の陥凹部は筋層の内輪および外縦が消失しており,体部および先端部の陥凹部は粘膜固有層で覆われ固有筋層の肥厚が認められた.腹膜炎,虫垂炎を合併していたが,穿孔はなかった.以上より,真性と仮性が混在する多発性憩室炎と診断した.症例2は右下腹部痛を主訴とし,CTで虫垂周囲に膿瘍を認め,急性虫垂炎の診断で手術を行った.回盲部は炎症性に肥厚し腫瘤状であり,膿瘍腔を形成していた.虫垂切除を行い,摘出した虫垂の先端部は嚢胞状に拡張しており,漿膜側は肥厚した線維性組織で覆われていた.先端部の拡張部には粘膜固有層の陥入,内輪筋の肥厚および外縦走筋の走行の乱れを認めた.微小穿孔を伴う腹膜炎を認めたが,虫垂炎の所見はみられなかった.以上より,真性・単発性憩室炎と診断した
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