発行日 2005年5月1日
Published Date 2005/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2005152606
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肺癌における局所進行癌とは,標準手術の範囲を超えた肺癌ということであり,周囲臓器に浸潤した肺癌(T3とT4)や臨床的にN2以上の高度リンパ節転移を伴った肺癌などがこれに含まれる.『肺癌診療ガイドライン』が刊行され,局所進行肺癌も標準治療が示されているが,EBMの根拠となるエビデンスが乏しいため,標準治療とされる治療方法の推奨レベルの低い点が問題である.胸壁・心膜・横隔膜浸潤の肺癌はT3肺癌であり,これらの切除は手技的に容易であることから,臨床的にN2症例でなければ外科療法が中心となっている.T4浸潤臓器には,心臓や大血管,気管分岐部,胸椎や食道などの臓器があり,その術式は多様かつ複雑である.気管分岐部,上大静脈,左房などの切除例の予後が比較的良好であり,またT4単一臓器浸潤例や扁平上皮癌でN0あるいはN1症例の切除症例の予後が期待される.局所進行肺癌の中で手術単独治療が標準治療となる肺癌は少なく,集学的治療を必要とする肺癌が多い.しかしながら,その手術侵襲から術前・術後に十分な合併療法が施行されていないのが現状である
©Nankodo Co., Ltd., 2005