発行日 2004年7月1日
Published Date 2004/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2004272426
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58歳女.腹痛,発熱を主訴とした.不妊器具の使用歴はなかった.急性虫垂炎が疑われて受診した.腹部超音波像で,右下腹部に腸管との連続性不明瞭の径4cmの一部hyperな部分を有するhypoechoicな腫瘤を認めた.腹部CTでは,回盲部に径5cmの壁が増強される一部液状成分を含む充実性の腫瘤を認め,周囲の脂肪組織の混濁が強く,膿瘍を形成した虫垂炎が疑われた.虫垂手術を施行し,剥離の際に黄白色の無臭膿汁が排出したため,細菌培養検査を行ったが陰性であった.病理組織像はphlegmonous appendicitisの所見であったが,組織内にsulfur granuleを認めた.Gram染色で陽性,抗酸菌染色で陰性の放射線状に配列する分岐した菌糸を認め,放線菌症と診断した.術後炎症所見は軽快したが,全身倦怠感が持続し入院を継続したが,軽快退院となった.抗生物質内服の了承が得られず,1ヵ月ごとに外来で経過観察しているが,術後6ヵ月を経過し再発をみていない
©Nankodo Co., Ltd., 2004