発行日 2004年7月1日
Published Date 2004/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2004272428
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81歳男.左下腹部腫瘤を主訴とした.4ヵ月前,便潜血陽性のため注腸検査を施行し,多発する憩室を認めたが,明らかな狭窄は認めなかった.今回はS状結腸に約10cmにわたる全周性の狭窄と腫瘍内のcavityが描出された.大腸内視鏡所見で,肛門縁から30cmのS状結腸に発赤を伴う易出血性で全周性の腫瘤を認め,S状結腸原発の平滑筋肉腫と診断した.下血が頻発し,頻回の輸血を必要としたため,出血コントロール目的でS状結腸切除術を施行した.腫瘤は超手拳大で,前腹壁から外側壁および後腹膜への浸潤を認めたが,腹膜および一部腹直筋,左精巣動静脈を合併切除することで,S状結腸を切除できた.術後経過は良好で,術後のCTでは腫瘤は切除できたと考えられた.しかし,術後52日目に左下腹部超鶏卵大の腫瘤を触知し,CTで再発が確認された.術後72日,全身倦怠感が強く,経口摂取不良となり再入院した.その後全身衰弱が進行し,術後83日目に死亡した
©Nankodo Co., Ltd., 2004