発行日 2004年6月1日
Published Date 2004/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2004259854
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61歳男.食欲不振を主訴とした.胃上部後壁に3型胃癌が指摘された.腫瘍マーカーCEAが高値を示した.標準的D2リンパ節郭清を伴う胃全摘術を施行し,脾,胆嚢は合併切除した.術後病理では胃上部後壁に3型胃癌を認め,胃中部病変は前壁,後壁ともに深達度T1(m)の早期胃癌であった.術後6日目より頻回の水溶性下痢が出現し,抗生物質を投与した.術後8~9日目には高度の炎症症状と熱発,全身皮膚発赤を伴うショック症状を呈した.肝膿瘍が原因の敗血症を生じたと診断し,開腹術を施行した.病理組織では肝細胞の萎縮と脈管内に血栓を認め,肝壊死と診断した.術後,肝切離面のドレーンより混濁したリンパ液の排出が続いたが,保存的に軽快した.初回手術後112日目に退院した
©Nankodo Co., Ltd., 2004