発行日 2009年2月1日
Published Date 2009/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2009114890
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67歳男。呼吸困難を主訴とした。胸部X線で心胸郭比46%を認め、冠状動脈造影で左主幹部病変を含む3枝病変と診断した。心電図は洞調律で心拍数81回/分であり、V5、V6に陰性T波を認めた。心カテーテルでは左主幹部#5:90%狭窄、前下行枝#7:75%狭窄、左回旋枝#11:75%狭窄、#13:90%狭窄、右冠状動脈#2:99%狭窄、#3:90%狭窄を認めた。左室駆出率は59%であった。胸骨正中切開で心臓に到達し、上行大動脈送血、右房脱血による部分体外循環下に心拍動下冠状動脈バイパス術3枝を施行した。第3病日より発熱、次いで正中層からの膿汁流出を認め、膿汁、心嚢液、胸水、静脈血、Swan-Ganzカテーテル先端の各培養からMRSAを検出した。開心術後縦隔炎と診断し、知的発達障害のため終日ベッド上で過ごすことは困難と判断して、ポータブル持続吸引システムを用いて持続陰圧吸引療法を施行し、さらにバンコマイシン投与を開始した。経過は良好で、軽快後にリハビリテーション目的で転院となった。
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