発行日 2003年9月1日
Published Date 2003/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2004039746
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56歳女.左乳房痛および腫瘤を主訴とした.左乳房D領域に自発痛を伴う腫瘤を認め,乳房には膨隆,発赤,皮膚の肥厚,圧痛があった.また,左乳頭より黄白色の膿性分泌物を認めた.マンモグラフィー所見では左C-C viewで約4cmと2個の約1cm大の不整形腫瘤を認め,乳房超音波所見では左乳房D領域に内部不均一で不整形の腫瘤を認め,腫瘤直上の皮膚は肥厚していた.左乳頭分泌細胞診および左乳房腫瘤穿刺吸引細胞診を行い,アポクリン癌と診断した.入院時の乳頭分泌は血性になっており,潜血反応陽性であった.T2N0M0病期IIAの左乳癌と診断し,左胸筋温存乳房切除術を施行した.病理組織所見では細胞質は好酸性に染色され,核は大小不同,核小体は明瞭で強い細胞異型を認め,典型的なアポクリン癌と診断した.なお,gross cystic disease fluid proteinの免疫染色では癌細胞ははすべて強陽性であった.術後経過は良好で現在まで再発は認めていない
©Nankodo Co., Ltd., 2003