発行日 2003年7月1日
Published Date 2003/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2003308845
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36歳男.腹部膨満感を主訴とし,腹腔内ないし後腹膜原発の腫瘍と診断された.腹部は膨満し,軟で圧痛はなく腫瘤は触知しなかった.腫瘍マーカー,血液生化学検査に異常はなく,CT像では左上腹部に境界明瞭な占居性病変を認め,内部均一で正常脂肪組織と同等のCT値を示した.MRIではT1,T2強調画像とも腫瘍の信号強度は皮下脂肪と同等であった.腸間膜あるいは後腹膜原発脂肪腫と診断し開腹した.手術所見より大網原発脂肪腫と診断し,腫瘍を摘出した.腫瘍の割面は均一,黄色充実性で,脂肪組織に多形成や異型性は認めなかった.術後経過は良好で腹部膨満感は消失し,術後14ヵ月現在,再発を認めていない.大網脂肪腫は良性腫瘍であっても十分なインフォームド・コンセントを得たうえでの外科切除が望ましいと考えられた
©Nankodo Co., Ltd., 2003