発行日 2004年5月1日
Published Date 2004/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2004211692
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61歳女.左下腹部の無痛性腫瘤を主訴とした.検診にて肝機能障害を指摘され,近医受診の際に触診にて左下腹部に手拳大の無痛性腫瘤を指摘された.腹部CTにて左腎に接して6×5×4cm大,石灰化を有する2房性構造の腫瘤を認め,MRIにて腫瘤内部はT1強調画像で筋肉より高信号,T2強調画像にて高信号であった.腹部血管造影にてtumor stain,encasement,動脈瘤は認めず,腸間膜原発のリンパ管腫を強く疑い手術を行った.開腹時,Treitz靱帯より30cm肛門側の空腸間膜に腫瘤が存在し,小腸部分切除と腫瘤摘出術を行い,切除標本の腫瘤内腔には漿液と灰白色の泥状残渣が充満していた.また,病理組織像では腸間膜に空腸とは連続性のない嚢胞状病変が形成され,ヘモジデリンを貪食したマクロファージと異物巨細胞の層状集簇を認め,腹部外傷や血液疾患の既往がないことから陳旧性の特発性腸間膜血腫と診断した.術後は経過良好にて退院となり,再発の徴候は認めていない
©Nankodo Co., Ltd., 2004