発行日 2003年3月1日
Published Date 2003/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2003201005
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68歳女.虫垂切除創からの膿汁排出を主訴とした.21年前に急性虫垂炎にて虫垂切除術を受けていた.瘻孔造影にて瘻孔は盲腸下極に通じ,盲腸及び上行結腸が造影された.瘻孔鏡にて瘻孔深部に粘液を認め,瘻孔壁の生検にて粘液嚢胞腺腫と判明した.虫垂切除端から生じた粘液嚢胞腺腫を疑い,下腹部正中切開にて開腹し,腸皮膚瘻を含めた回盲部切除術を施行した.病理組織学的に,虫垂切除端付近の瘻孔壁には粘液産生上皮が乳頭状に増生し,瘻孔内には粘液が存在した.異型性が少ないことから粘液嚢胞腺腫と診断した.術後経過良好にて退院となり,術後11年9ヵ月現在,瘻孔再発や腹膜偽粘液腫の所見は認めていない.自験例のような瘻孔症例おいて,組織学的検討が行える瘻孔鏡検査は臨床的意義が高いと考えられた
©Nankodo Co., Ltd., 2003