発行日 2003年3月1日
Published Date 2003/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2003201004
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49歳男.右下腹部痛,発熱を主訴とした.入院時検査ではWBC12600/μl.CRP12.3mg/dl以外に異常を認めなかった.腹部超音波検査にて右下腹部痛に一致して類円形,境界明瞭,内部不均一な低エコー領域を,腹部CT検査にて回盲内部側に内部がlow densityを呈する腫瘍形成を認めた.大腸内視鏡にてBauhin弁近傍に糞栓,周囲粘膜の発赤を伴う憩室を認め,糞栓を除去すると膿汁の流出がみられたため,散布チューブを用いて生食水にて洗浄を行った.処置直後から腹部圧痛は軽減し,腫瘤も触知しなくなり,発熱,WBC,CRP等の炎症所見も処置後すみやかに低下し,処置後5日目には正常範囲となった.退院後3ヵ月目に施行した注腸造影検査では,回盲部に憩室を認めたが,他に腸管の変形,異常所見は認めなかった.以上より,内視鏡的ドレナージ術は,憩室同定の困難さ,穿孔の危険性はあるが,低侵襲で効果の高い処置であると考えられた
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