発行日 2003年2月1日
Published Date 2003/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2003197835
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61歳男.刃渡り20cmのナイフで下腹部を刺された.腹部は平坦であったが,全体的に硬く,臍の右下から約5cmにわたる切創を認め,同部から腸管脱出を認めた.臍下部の切創を利用し正中切開を加え腹腔内に到達した.後腹膜腔よりの出血が持続しているため後腹膜腔の出血源の検索を行った.ところが,後腹膜腔の検索開始直後より急に出血量が増加し,圧迫止血が困難で術野が確保できないため,右大腿動脈よりSeldinger法にて大動脈遮断バルーンカテーテル(IABO)を挿入し,噴出様の出血をコントロールし,損傷部位及び出血点の止血操作を行った.損傷のある下大静脈を約3cm切離し,テフロン製でリングなしの人工血管に置換した.その後,出血の有無を確認しIABOを抜去した.術後,Heparin sodiumによる抗凝固療法を行ったが,術後経過は良好で,感染や貧血の進行も認めず,術後15日目に軽快退院した
©Nankodo Co., Ltd., 2003