発行日 2002年11月1日
Published Date 2002/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2003116854
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直腸カルチノイドに対するtransanal endoscopic microsurgery(TEM)の適応と有用性を評価した.対象は,TEMによる直腸腫瘍切除を施行した9例(TEM群:男性5例,女性4例・平均年齢60.8歳)で,経肛門的腫瘍切除術を施行した9例(経肛門群:男性5例,女性4例・平均年齢54.3歳)と比較検討した.TEM群の深達度はmまたはsmで,核分裂像はほとんど認めず,脈管侵襲陽性例はなく,低悪性で追加切除は1例もなかった.現在平均48ヵ月で全例再発は認めていない.経肛門群の直腸カルチノイドは2例とも深達度はsmで,核分裂像が少なく脈管侵襲を認めない低悪性で追加切除はなかった.現在126ヵ月と97ヵ月で再発は認めていない.両群とも術後出血や狭窄はなく,排便機能異常も認めなかった.手術時間はTEM群で平均75.6分,経肛門群で33.2分と有意差を認めた.術後鎮痛剤を使用した症例は経肛門群の2例のみであった.直腸カルチノイドに対するTEMによる一括切除は,低侵襲な検査および治療法であると考えられた
©Nankodo Co., Ltd., 2002