発行日 2002年11月1日
Published Date 2002/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2003116856
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41歳男性.食道早期類基底細胞癌の1例を経験した.人間ドックで下部食道の隆起性病変を指摘され紹介入院した.食道内視鏡で上切歯列38cmの左側壁に0-I sep型の腫瘍を認め,ヨード染色で同部位に地図状に拡がる不染帯を認めた.生検で腫瘍は類基底細胞癌または腺扁平上皮癌が疑われ,不染帯は中分化扁平上皮癌と診断され,胸部食道切除,後縦隔経路食道胃管吻合を行った.切除標本では胸部下部食道に0-I sep型腫瘍とヨード染色で地図状の0-IIb病変を認めた.病理組織所見では基底細胞様の腫瘍細胞が充実性に胞巣を形成し,正常上皮を圧排伸展して増殖し,一部に腺管形成もみられた.また,胞巣内外に硝子様物質の沈着も認め,類基底細胞癌と診断した.術後に肝機能障害と膿胸を併発したが軽快し,第45病日に退院した.術後6年8ヵ月経過で再発なく健在である.本症例は肉眼型が0-I sep型で周囲に扁平上皮癌を伴い予後良好なことから,早期類基底細胞癌の典型的症例と考えられた
©Nankodo Co., Ltd., 2002