発行日 2002年11月1日
Published Date 2002/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2003116847
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門脈腫瘍栓を伴う肝癌の外科治療について検討した.対象は,門脈2次分枝より中枢(Vp2~Vp4)に腫瘍栓があり,かつ肝外の遠隔転移のない症例45例(男性41例,女性4例,平均年齢62歳)であった."幕内基準"により23例が手術適応となり,手術に先立ち平均30日間の肝動脈化学塞栓療法(TACE)を受けた.開腹時所見で18例が根治的肝切除術を受け,4例が肝動脈結紮術を,1例が門脈結紮術を受けた.手術適応外の10例に肝動注化学療法,12例にTACE単独治療がなされた.肝切除18例の5年生存率は42%,非肝切除27例では1年生存率が7%にすぎなかった.予後に対するrelative riskの単変量解析で有意であったのは肝切除,ICGR15,肝癌の結節数,門脈本幹の腫瘍栓による完全閉塞の有無の4因子であった.主腫瘍が2個以下で門脈血流が保たれており,ICG15分値が20%以下の場合は"術前TACE+肝切除"のcombination therapyで予後は大きく改善されると考えられた
©Nankodo Co., Ltd., 2002