発行日 2003年8月1日
Published Date 2003/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2004013564
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1989~1998年間の肝癌入院患者455名のうち,門脈2次分枝より中枢に腫瘍栓があり,かつ肝外の遠隔転移のない45例(男41例,女4例,平均年齢62歳)を対象とした.45例中23例が手術適応となった.この23例に肝動脈化学塞栓療法(TACE)を行った.開腹時所見により18例は実際に根治的肝切除術を受けたが,5例は手術適応外とされ4例は肝動脈結紮術を,1例は門脈結紮術を受けた.手術適応外とされた22例の治療法は10例が肝動注化学療法,12例はTACE単独治療であった.長期予後は肝切除群の5年生存率が42%と高率であったが,非肝切除群では1年生存率は7%に過ぎなかった.肝切除術時に門脈腫瘍栓を伴う症例は,主腫瘍が2個以下で門脈血流が保たれており,ICG-15分値が20%より良好な場合には,TACE+肝切除のcombinationにより予後は大きく改善されると考えられた
©Nankodo Co., Ltd., 2003