発行日 2002年7月1日
Published Date 2002/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2003005156
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68歳男.内科で胃癌と診断され,幽門側胃切除,胆嚢摘出術が施行された.病理組織学的には低分化腺癌で,深達度mp,n(-)のStage Ibであった.術後経過は概ね良好で,術後18日に経口抗癌薬を処方し,術後25病日で退院した.32病日ごろから食欲不振となり,39病日経口抗癌薬を中止した.53病日に倦怠感が悪化し,55病日に意識障害を認め入院となった.入院時,脱水と高血糖で,意識障害,見当織障害,眼球運動障害が改善しないためビタミンB1の投与を開始し,神経症状は幾分改善し,神経内科を受診した.Wernicke脳症が疑われ頭部MRIT2強調画像で乳頭体,中脳水道,両側視床内側に高信号を認め,診断が確定した.ビタミンB1を100mg/日静注加療され徐々に軽快し1ヵ月で退院となった.原因は長期大量飲酒による慢性的なビタミンB1不足の状態に,胃癌に伴う食欲低下,胃手術に伴う経口制限,抗癌薬の副作用による食欲不振,下痢等が重なったものと思われた
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