発行日 2002年3月1日
Published Date 2002/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2002227667
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69歳女.近医での超音波検査で肝腫瘤を指摘された.C型肝炎ウイルスは陽性であり,症例は肝硬変による肝機能障害を伴っていた.超音波では肝S7に径約2cm大の低エコー結節性病変を認め,単純CTでは同部位に低吸収域を,造影CTでは腫瘤を認めた.総肝動脈造影では同部位に腫瘍濃染像を認めた.臨床画像所見から肝細胞癌を否定できず,肝S7の部分切除術を行った.摘出標本は1.5×2.5×2.0cm大で,割面は黄白色,内部は均一,境界やや不明瞭な被膜形成のない硬い腫瘤であった.病理組織学的には腫瘍周辺の門脈域にリンパ行性と考えられる腫瘍の進展と,門脈内への浸潤がみられた.また,腫瘍腺管内に粘液産生の弱い胆汁の貯留を認めた.免疫染色ではHP1が陰性,CK7が強陽性であった.術後は特に合併症もなく,再発徴候はない.現在,外来にて経過観察中である
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