発行日 2005年6月1日
Published Date 2005/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2006003423
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54歳女.胆道系酵素の上昇があり,腹部超音波検査にて肝前区域に長径8cm大の低エコーな腫瘤を認め,内部に斑状の高エコー域を散在性に認めた.腹部CTでは,造影早期にて腫瘍辺縁は造影効果を失い,後期相でも同程度の濃度で残存した.また腫瘍内部は,門脈前区域枝が腫瘍内を形態を保ち貫通する像がみられ,後期では門脈透亮部を中心に線状の高吸収域が腫瘍内に散在していた.腹部MRIではT1強調画像で低信号,T2強調画像で不均一な高信号を呈した.肝内胆管癌を疑うとともに,限局性結節性過形成の可能性も念頭におき,肝拡大右葉切除術を施行した.病理組織所見より胆管細胞癌の亜型である細胆管癌の診断で,脈管系への浸潤傾向は乏しく,門脈壁周囲に腫瘍細胞が散在するのみであった.術後合併症なく11病日に退院し,術後3ヵ月経過現在,再発の徴候はみられない
©Nankodo Co., Ltd., 2005