発行日 2001年12月1日
Published Date 2001/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2002180541
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57歳女.高血圧の既往歴があり,突然激しい胸部痛と右下肢痛が発現して救急搬送され,胸部CTにて急性大動脈解離(Stanford A型広範型,DeBakey I型)と診断され緊急手術となった.超低体温循環停止と脳分離体外循環併用で,上行・弓部大動脈全置換術を施行(手術時間663分,体外循環時間363分)した.ICU入室直後より血液ガスは代謝性アシドーシスを呈しており,帰室3時間目には無尿となったため持続血液濾過透析を開始したが,以後頻回の補正にも拘わらず代謝性アシドーシスは改善せず,アシドーシスの進行が認められた.術後24時間には代謝性アシドーシスは更に進行し著明な肝機能障害も認められ,虚血による障害と考えられた.その後,徐々に循環・呼吸動態も悪化し,DIC,多臓器不全となり術後30時間目に死亡したが,剖検は家族の同意が得られず施行できなかった.腹腔内臓器虚血が危惧される大動脈解離手術例では術中の試験開腹等の必要性があると考えられた
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